“ハウステンボス「変なホテル」に見る、近未来のショッピング体験”と題して、近未来の接客・売場が今後どのように変化していくか、また、そのためにはどのようなソリューションが必要になっていくか、そんなテーマで【前編】【中編】【後編】の3部編成で連載します。

ホテル業界に革命?!ハウステンボス「変なホテル」

長崎県のハウステンボスに2015年7月17日のOPENした「変なホテル」。そのネーミングもさることながら、次世代型のホテルとして非常に注目が集まっています。

何より特徴的なのは「接客のすべてをロボットがする!」という近未来型のホテルである事。

接客以外にも荷物を部屋まで運ぶ「ポーターロボット」や「コンシェルジュロボット」など様々なロボットがお出迎えしてくれます。

ハウステンボスの澤田社長は会見で、

「ホテルの宿泊料金が高騰するなか、手ごろな価格で快適に泊まれるローコストホテルを作るプロジェクトを3年前にスタートした。人が行っていた業務の7割程度を自動化して人件費を約3分の1に削減するとともに、最新の建築技術などを活用して光熱費も4~5割程度削減し、世界最高の生産性を追求した」

とコメントしており、旅行客が安価に宿泊できるホテルを世界中に普及させ、観光産業を盛り上げたいという思いから開発したホテルです。

ロボットによって変わる「接客」

一般的にロボットというと「鉄腕アトム」や「ドラえもん」のようなイメージが湧きませんか?
そのためか「ロボット」と聞くと、どこか未来的なイメージを持ち、ワクワクする気持ちになる人も多いとは思いますが、実はロボットは私たちの生活の目に見えない部分で古くから共存しています。

特に製造系の企業では生産工程の中に多くの「ロボット」が活躍してきました。しかし、そのロボットの多くは「業務支援」のためのロボットであり、人とコミュニケーションを取るようなものではありませんでした。

一方で、「変なホテル」で活躍するロボットたちは、人とコミュニケーションを取ることを目的として、「やすらぎ」「おどろき」「感動」など、人の感情面への作用に、とても拘っています。

フロントでは恐竜のロボットが対応してくれる驚きが体験でき、コンシェルジュロボットとはゲームを楽しむ事ができます。

また、各部屋には、ハウステンボスのメインキャラクターをかたどった「ちゅーりーロボ」がいて、話しかけるとお部屋の電気を消したり、アラームをセットしてくれたりしてくれます。

このように、「変なホテル」のロボット達は、単純にローコストを追求しているだけでなく、「やすらぎ」「おどろき」「感動」などの躍動と共に、「宿泊すること」の楽しみにも一翼を担っているのです。

この「感情的」なコミュニケーションは、繁盛させるための「接客」において非常に大きな意味を持っています。

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繁盛させるための「接客」とは?

感情的に訴える接客がどのように売り上げUPにつながるか、そのプロセスをご紹介します。

消費者が購買行動をとる上で、その商品(ブランド)を買いたいと思う重要な要素の一つには、そのブランドが「どのくらい、好きか」という感情的な部分であると言われています。ポジティブな感情を獲得できなければ、ブランドの「ロイヤルカスタマー」にはならないでしょう。

また、ブランドの売上構成を見てみると、ロイヤルカスタマーの売上構成比率が50%程度のブランドも少なくありません。

つまり、売り上げをアップさせるためには

  1. 感情に訴える接客を行うこと
  2. そのブランドを好きになってもらうこと
  3. そのブランドのロイヤルカスタマーに育てること

という3つの消費者接点が必要になってくるわけです。

では、そもそも感情に訴える接客とはなにか。一番重要な事は、「顧客を知る」という事ではないでしょうか。

ホテル事業においては、何度も利用されている優良顧客に対して「当ホテルのご利用方法を説明します。」という接客はNGと言われておりますが、例えば、まず第一声に「いらっしゃいませ、〇〇様」と、名前を呼んでお迎えする事だけでも、顧客に対して良い印象を与えることができます。

このように、誰に対しても同じ接客をするのではなく、顧客に合わせた対応をすることで、ロイヤリティ向上につなげることができます。

これは、高価格帯のブランドの接客にも共通して言えることです。 つまり、売り上げを上げるためにまず重要な事は
「顧客を知り、顧客毎に合ったサービスを提供すること」
というシンプルな答えに行きつくのではないでしょうか。

近未来の顧客接点はこう変わる!

今回ご紹介させて頂いた「変なホテル」のロボットを活用した事例は、単なる業務効率を追求したものではなく、顧客との新しい関係性構築の一つの可能性を示してくれていると考えています。

近未来の接客・売場がどのように変化していくか、そのためにはどのようなソリューションが必要になっていくか、そんなテーマで次回以降連載記事として展開していきます。

ハウステンボス「変なホテル」に見る、近未来のショッピング体験 【中編】
ハウステンボス「変なホテル」に見る、近未来のショッピング体験 【後編】

プロモーションメディア事業部 ソリューション営業推進本部 営業開発課

田河 毅宜

2008年入社。入社から5年間、大手自動車メーカー様、大手生命保険会社様などの営業担当として、製造はもちろんデザイン・制作、システム、ロジスティクスなどを組み合わせた様々なソリューションを立ち上げ。2012年より営業開発課担当として、新たなサービスの開発に携わっている。現在は、当社流通業向けソリューションメニューの開発プロジェクト責任者として活動。

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