時代はフォトジェニック!?店頭ツールに生かす「インスタ映え」と「シズル感」

ここ数年、Instagram(インスタグラム)やPinterest、Vineなど、写真や動画を中心としたSNSが若者を中心に大流行しています。ビジュアルで思いを共有する時代にマッチする店頭ツールを開発するには、どんな点に気を配ればよいのでしょう?

この記事では、SNSを中心に注目を集める「インスタ映え」、「シズル感」というキーワードをひもといてみましょう。

「テキスト」よりも「グラフィック」!?

SNSといえば、ひと昔前まではTwitterやFacebookのようなテキストを中心としたものが主流でしたが、Instagramの登場によって、SNSシーンは劇的な変化を遂げました。

InstagramやVineといった写真・動画を中心としたSNSはもちろんのこと、かつては「つぶやき」や「近況」のようなテキスト型の投稿をメインにしていたTwitterやFacebookにおいても、写真や動画のように「目で見て楽しむ」タイプのコンテンツを投稿する仕組みが充実してきています。

写真や短い動画を投稿し、ビジュアルで想いやストーリーを共有し合うことは、すでにごく一般的なことになりつつあるといってよいでしょう。

「インスタ映え」と「シズル感」

こうしたなかで、2017年に注目を集めたキーワードが2つあります。ひとつは2017年の流行語大賞にも選ばれた「インスタ映え」、そしてもうひとつは「シズル感」です。

「インスタ映え」とは、基本的にはInstagramに投稿したときに見栄えがよく、人目を引くモノやシーンを表す言葉。ビビッドな色合い、可愛らしい形、写真映えする風景など、「Instagramに投稿してフォロワーに見せびらかしたい!」という気持ちをかき立てるビジュアルを持つものに対して、「インスタ映えするアイテム」「インスタ映えする景色」「インスタ映えするシーン」というような形で用いられます。

また、単に見栄えがよいだけでなく、背景に潜むストーリーを見る人に伝える力を持つような写真や動画に対して「インスタ映え」という言葉が使われる場合も少なくありません。

インスタ映えする写真を撮るためのさまざまなテクニックや、そのために用いるライトや自撮り棒などのツール、画像加工用のアプリなどもいろいろと開発され、「インスタ映え」はちょっとした社会現象となりました。

一方、「シズル感」の方は、「おいしそうな感じ」「五感を刺激するような感じ」を表す言葉です。
もともとはエルマー・ホイラーというコンサルタントが書いた「ステーキを売るな シズルを売れ」という本の中で、「ステーキを売るためには『匂い』や『音』を使って五感に訴えることが大切である」といった文脈で用いられ、これをきっかけとして広く用いられるようになったといわれています。

「シズル感」の語源は「肉を焼くときのジュージュー」という音(sizzle)からきているといわれ、広告デザインの世界では「みずみずしさ」「臨場感」といったニュアンスを表すのに用いられてきました。日本にも「鰻好きには煙を食わせろ」という言葉がありますが、百の言葉で説明するより、五感に直接訴える表現を用いる方が効果的な場合が少なくありません。
昨今はSNS上に投稿されるランチやディナーなどの写真に対して、「この写真、シズル感あるね!」というような形でしばしば使用されています。

「インスタ映え」に命をかけるSNSユーザー

ここで、Instagramについてあらためて紹介しておきましょう。

Instagramは写真の共有をメインテーマとしたソーシャルネットワーキングサービスで、日本では10~30代の若い女性を中心に2015年ごろから人気が高まり始めました。お笑い芸人の渡辺直美をはじめ、女優やモデルなどのタレント陣が積極的に活用し始めたのも、Instagram人気に追い風を吹かせた一因といえるかもしれません。

Instagramのユーザーのなかには、投稿した際に見栄えのいい、いわゆる「インスタ映え」する写真が撮れることを重視して行動する人が少なくありません。SNSによるコミュニケーションが日常の延長線上にある彼らにとって、フォロワーに称賛される投稿をするのはとても重要なことなのです。

「インスタ映えする写真」を撮ることだけを目的に飲食店に入店し、出された食べ物や飲み物を無駄にするといった、インスタ映えに絡んだ問題もチラホラと指摘されつつありますが、そうした問題が起こるほどに勢いのある領域なのだと考えることもできるでしょう。

インスタ映え・シズル感を店頭ツール開発にどう活かすべきか?

そんなInstagramユーザーの気を引くのは、思わず誰かに披露したくなるようなビジュアルのモノ・コト・シーン。

色や形がかわいらしいパッケージに入った商品、あっと驚くような形の食べ物、非日常的な店内装飾などが「インスタ映え」するビジュアルとして彼らに好まれます。こうしたモノやシーンを目にすると、「あっ、これインスタにアップしたい!」と瞬時に思うのです。

これからの店頭マーケティングにおいては、こうした若い世代の心理を理解したうえで、店頭ツールや商品パッケージの開発に役立てていく姿勢が求められます。

では、今最もホットなキーワードである「インスタ映え」と「シズル感」を、店頭ツール開発にどのように取り入れていけばよいのでしょう?

「インスタ映え」につながるキーワードには「カワイイ」「綺麗」「クール」などさまざまなものが考えられます。また、前述のとおり「インスタ映え」という言葉は、「ビジュアルの背後にストーリーが感じられる」というニュアンスで用いられることも少なくありません。しかし、いずれの場合にも共通するのは、思わず「これ、フォロワーに見せたい!」と思わせる何かがそこに潜んでいるという点です。

逆にいうと、自社商品の主要ターゲット層がどんなモノ・コトを「誰かに見せたい」と感じるのかをひもといていくことが、インスタ映えする店頭ツール開発のヒントとなるでしょう。

一方、おいしそうな食べ物や躍動感のあるシーンなど、五感に直接訴えかけることが消費者の心に響くようなアイテムの店頭ツールを開発する際は、「シズル感」を意識したグラフィックを作ることで高い効果を狙えます。

今にも「ジュージュー」という音が聞こえてきそうなシズル感たっぷりのステーキのポスターを見たら、あなたも「この写真、超シズル感ある!」……と、ついSNSに投稿したくなりませんか? 飲食店の新メニューのほか、遊園地のアトラクション、旅行のオプションツアーなど多くの商材に、このテクニックを応用できそうです。

なお、インスタ映えとシズル感は相反するものではありません。「シズル感がありつつインスタ映えする写真」というのも当然あり得るため、「インスタ映えとシズル感のどちらを狙うべきか?」と、ことさらに区別して考える必要はないでしょう。インスタ映えとシズル感、2つのキーワードのニュアンスを正しく理解したうえで、うまく取り入れていく姿勢が求められます。

「インスタ映え」に踊らされるな、「インスタ映え」をモノにせよ!

写真や動画がSNSに投稿され、シェアされることによって情報が拡散されるのは、もはや当たり前のこととなりました。誰もが誰かに何かを「見せたい」、見せたものによって「賞賛されたい」と考える時代において、「見栄え」を意識した商品開発の重要性はますます高まっていくでしょう。

「インスタ映え」や「シズル感」も、しばらくの間はマーケティングシーンの重要キーワードのひとつとして扱われていくに違いありません。

とはいえ、キーワードにとらわれるあまり、自社本来のブランドカラーを損なうようでは本末転倒です。
「ここまでは譲れない」という境界線をきっちり引いたうえで、CRMやマーケティングオートメーション等で蓄積したデータからターゲット層の趣味・嗜好(しこう)を正しく導き出して、自社にとって最も適切な「インスタ映え」や「シズル感」の取り入れ方を模索してみてください。

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