チラシやビラ、パンフレット、ダイレクトメール、カタログ、紙器、パッケージ…
印刷物はわたしたち生活の中に数多く存在しているが、それらを作り出すための「印刷方式」や「印刷設備」については、関係者でない限りはあまり意識することはないかと思います。今回は、普段はあまり接点のないであろう「印刷方式」と「印刷設備」について専門的にならない程度にご紹介します。

印刷機は数億円!

印刷方式の前に。普段はあまり見かけない、印刷会社のテレビCMを見る機会がありました。ラクスル株式会社です。「仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる」をビジョンに掲げ、自前の印刷設備は持たず、注文の仕様・納期などに応じて、提携を結んでいる印刷会社に印刷作業を委託する形をとっています。

実は、印刷機の価格は1台数億円単位で、さらにそれを設置する土地代や稼働させる電気代などを必要とします。多種多様な形状・部数などの仕様に自社のみで対応するとなると、大変な設備投資が必要になります。
ラクスル株式会社は、設備投資を排除し、提携会社が持つ設備の非稼働時間をうまく活用するビジネスモデルで、ネット印刷の市場を牽引しています。

知ってると得!とは言いません。印刷方式について

私たち印刷会社は、クライアントの製品ニーズに応じて、「どういう方式で刷るか」を検討します。
印刷の基本は「版を作って大量に複製を作る」ことですが、方式によって使うインキの種類や再現性が異なります。簡単にその特徴をご紹介します。

活版印刷:昔ながらの「活字」のような、凸状になった版を使います。週刊誌の本文などにも使われていますが、パッケージやラベルなどに活用される場面が多いです。版が安価で紙質をあまり選ばずに印刷できます。

グラビア印刷:食品類の軟包装や建材用などによく使われています。光沢感のある仕上がりとなるので、いわゆる雑誌の「グラビア」頁もほぼこの方式で製造されていました。現在は後述するオフセット印刷に置き換わってきています。

シルク印刷:メッシュの版を使います。(残念ながら事業終了してしまった「プリントゴッコ」のような版です)
版、印刷ともコストが高いのですが、さまざまなインキが使えるので、装飾などによく使われています。コミックのカバーなど、ツヤツヤしていたりキラキラしているものの多くはこの方式で刷られています。

オフセット印刷:現在もっとも主流の印刷方式です。印刷スピードも速く、コストも安価になってきています。細かい表現ができるようになり、雑誌の「グラビア」もほぼこちらに置き換わってきています。さらに「オフ輪」と呼ばれる大ロット向け設備や、「オフ平」と呼ばれる小~中ロット向けの設備があり、ロットや使う用紙、さらに印刷コストなどニーズに合わせて対応することができます。

それぞれの特徴を活かして、最善の印刷方式で製造します。

最近よく聞く、「POD」とは?

前段の印刷方式では、最近増えている小ロットや多品種の印刷物についてはコストが合わなかったり、短納期に対応しきれなかったりという難点がありました。その課題に対して、POD(Print On Demand)と呼ばれるデジタル印刷機が台頭してきています。

PODは、いわばオフィスにあるカラープリンタの商業版(大型版)です。これまでは、主流のオフセット印刷よりも細部の再現性や発色などの“品質が劣る”ものでしたが、技術が進歩して品質が向上しました。 “PODが印刷に追いついてきた”というのが率直な感想です。一般消費者からは、違いに気づかないレベルにまできているかもしれません。

“印刷”か “プリント”か

筆者個人としては、PODは従来の“印刷”と異なり版を作らないので、“プリント“と呼ぶことにしています(個人的な見解で、一般論ではありません)。この“プリント”のほうを使うにもメリットとデメリットはあります。
印刷機ほど設備規模が大きくないので、小ロット(およそ数百単位)のときはコストメリットがでます。物理的な版を作るわけではないので版替え作業が生じず、店名刷り分けなどに対応しやすいこともメリットです。
逆に、中~大ロット(数千部、数万部以上)は、生産スピード面でもコスト面でも、オフセット方式に軍配が上がります。
弊社では先述のオフ輪、オフ平に加えてPOD機も所有し、印刷物の使い道などに応じて最適な提案をしています。

総合印刷会社の強み

印刷方式が複数あるということは、印刷物の用途も、印刷会社が提案できる選択肢も複数あるという点です。大ロット省コストを目指すのがよいか、小ロット内容可変が必要な案件なのか、それとも形状の面白さなのか…。
総合印刷会社の強みは、クライアントのニーズをくみ取り、印刷物の用途と作り方提案する製造面での取り組みと、各種マーケティングデータの活用を軸に、最適なデザインやプロモーション活動へと展開するソフト面の取組みの両方を提供できることです。
共同印刷は、時代やニーズの変化に合わせ、製造面・ソフト面双方のサービス開発に取組み、クライアントニーズに対応してまいります。

印刷|製品・サービス|共同印刷株式会社
https://www.kyodoprinting.co.jp/products-service.html

プロモーションメディア事業部 ソリューション営業推進本部 営業企画部

日下部 敦志

1999年入社。入社から特殊印刷加工の発注、加工設備の導入支援、データプリントなど製造分野での設計・企画を担当。現在は営業部門において、クライアントの多岐に渡るニーズに答えた特殊印刷加工の設計提案を行なっている。

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