目次

  • CRMとは
  • なぜCRMが必要なのか?
  • CRMを導入するメリット・デメリット
  • CRMの導入にあたって大切なポイント
  • 失敗しないCRMの運用方法
  • CRMを効果的に運用するためのツール
  • CRMの応用例
  • まとめ

 

 

「手元にたくさんの名刺の束があるけど、どうしたらよいのかわからない。」 「CRMという言葉は知っているが、具体的にどのような効果やメリットがあるのかイメージできない。」 
そんな声をよく聞きます。

企業のマーケティングに携わっていると、CRMはよく耳にする言葉です。最近では特に、様々な業界・業種でのIT化や、ソーシャルメディアの台頭で顧客の行動を可視化することが以前と比べて容易になってきています。

そこで、今回の記事ではCRMに関するWhy(なぜ必要なの?)、What(何をするの?)、How(どのようにするの?)ということを中心に、あなたの疑問を解決し、実際に運用するにあたって注意すべきポイントを徹底的に解説します。

 

CRMとは

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(Customer Relationship Management))とは、顧客と企業とのあらゆる接点を管理し、顧客との関係性を深めることで顧客のロイヤリティを高め、収益の拡大を目指すマネジメント手法です。
CRMシステムとCRMの概念は混同されがちですが、CRMは顧客とのリレーションシップを構築し、高い収益性を得るための経営戦略であり、CRMシステムはそのCRMを実行するためのツールにすぎません。

 

どんなところで使うのか?

CRMは、経営戦略に「顧客満足度の向上」、「顧客視点のマーケティングの実施」、「顧客ニーズへの対応」を掲げ、収益の拡大を目指す企業であれば、あらゆる業種に活用できるマネジメント手法です。 
CRMは1990年代に米国で新たな経営概念として誕生し、2000年以降に日本へ浸透しはじめました。当初は、「顧客中心」のマネジメントにいち早く目を向けた通販や金融業界で活用されていましたが、近年では、その概念の重要性と必要性に注目が集まり、医療・アパレル・飲食店など業種業態を問わず導入されています。

各業種でのCRM導入事例は下記より無料ダウンロードいただけます。
「Cogmaを使った事例」


なぜCRMが必要なのか?


なぜ今、CRMの必要性が高まっているのでしょうか。それは、バブル崩壊後の日本のビジネス環境の変化が原因です。詳しく解説していきましょう。

 

製品中心のマーケティングから顧客中心のマーケティングへ

1980年代ごろの日本は、どの市場も拡大傾向にあり、商品さえ作れば売れるという「製品中心」のマーケティングが主流となっていました。顧客のマインドは大量消費の傾向にあり、企業側にもマーケティングに投下する潤沢な予算がありました。たとえ既存顧客が他社製品へ流出したとしても、新製品を開発したり、価格を下げたり、TVCM等のマス広告を実施することで新規顧客を比較的容易に獲得することが可能でした。 
しかし、バブル崩壊後、日本は長きにわたる経済停滞期を迎えました。消費者マインドが変化し、「よい商品があれば買う」という積極的な購買意欲は減退しました。その背景には、少子化による人口の減少、海外競合商品の参入によるコモディティ化、類似製品が市場に溢れる「モノ余り時代」への突入、インターネットの発展による情報過多など、商品の差別化が難しくなってきたことがあげられます。 
こういったビジネス環境の変化により、企業はマーケティング手法を見直すことを余儀なくされました。従来の企業側から顧客への一方的な「製品中心」のプッシュ型マーケティングではなく、顧客目線に立ち、顧客の声に傾ける「顧客中心」のマーケティングへの移行です。そんななか、米国で考案された経営概念がCRMです。CRMの大前提にはパーミッションマーケティングという考えがあり、これは顧客データを顧客の承認(パーミッション)を得て、企業と顧客のコミュニケーションのために活用するという意味合いがあります。顧客に承認を得て情報を活用することは、顧客との信頼関係を築きやすいというメリットがあります。

 

「顧客の獲得」から「顧客の維持」へ変化する価値観

そして、CRMが今必要とされている理由はもう1つあります。ライフタイムバリュー(LTV)という言葉をご存じでしょうか? 
顧客が、ひとつの企業で商品購入のために支払った合計金額をライフタイムバリューと言います。この合計額を大きく成長させていくことが、企業の収益性を高める売上となります。 
それを実証する調査結果をいくつかご紹介します。

 

  1. 新規顧客獲得のためのコストは既存顧客のコストに比べ5倍のコストがかかる(1:5の法則)
  2. 顧客離れを5%改善することで、利益が25%改善される(5:25の法則)
  3. 既存顧客は新規顧客に比べ、支払い額が増加する傾向にある

 

1.2.については、「マーケティング担当者・営業企画担当者必見!顧客管理をするだけでは不十分! 効果的な販促をもたらすCRMのマジックナンバー 1・5・25」資料で詳しく解説しています。下記より無料ダウンロードが可能です。 
https://hcfm.kyodoprinting.co.jp/public/application/add/36


販促コストを抑え、高い収益を見込める既存顧客の存在は、企業にとって重要な存在であることがお分かりいただけると思います。またCRMは、特に既存顧客を育成し企業へのロイヤリティを強固にすることを得意とするマネジメント手法であることから、今多くの企業の注目を集めています。

 

顧客を逃さないためのCRM
見込み顧客を新規顧客に。既存顧客を優良顧客に。

モノ余り時代と言われる現代では、顧客の目は肥え、商品やサービスに対する欲求の基準はより高くなっています。商品のクオリティや価格だけでなく、従業員のパーソナリティや対応による「従業員価値」、保証やメンテナンス、問い合わせ・クレーム対応などの「サービス価値」、企業・ブランドに対し生活者が抱く「イメージ価値」も購買意欲を喚起する要因です。

CRMはこれらの価値を、異なるニーズを持つ顧客それぞれに継続して提供し、顧客満足度を高めていくことを得意とするわけですが、実際にどういったワークフローを実行しているかをご紹介いたします。

 

CRMに必要な顧客データ管理の方法

まず、顧客の氏名や性別、住所、年収、職業などの「属性データ」や過去の購買履歴である購買額・購買頻度、ウェブサイトのカート投入履歴などの「行動履歴データ」をデータベースに一元化します。顧客データをデータベース化することにより顧客の分析・分類(セグメンテーション)が可能になります。

例えば、1年以上にわたり定期購入をしている優良顧客A、2〜4回の購入履歴のあるリピーターB、以前数回の購入履歴があるが1年ほど購入がない休眠顧客C、1回の購入履歴のある既存顧客D、まだ購入のない見込み顧客Eといった具合です。企業は、優良顧客Aを増やすことで企業の収益性アップにつながります。つまり、リピーターB、休眠顧客C、既存顧客D、をCRMでいかに有力顧客に育成させていくかがポイントです。B、C、Dのグループの「行動履歴データ」を基にさらに分析を行い、それぞれの顧客がどういった情報やアクションを求めているか、ニーズを探ることで次の戦略を打ち出します。

通販の事例でもう少し具体的にご説明します。既存顧客Bは、すでに今年にはいって4回の購入履歴があります。定期的にウェブサイトを閲覧している履歴もあり、こういった顧客は購入意欲が非常に高いため、コールセンターでのフォローアップやクーポン付きダイレクトメールの効果が高く見込まれます。また、コミュニケーションの頻度を多くし、購買単価を上げるためのアプローチも有効です。顧客は、企業が自身に関心を深めているという心地よい特別感を感じることで、企業へのロイヤリティを高めていくためです。 
そして、見込み顧客Eには、トライアル商品の案内や、お客様の声を盛り込んだダイレクトメールで商品への信頼性をアップさせることで、購買の確度を上げていきます。

戦略の実行後は、成果の検証を行います。顧客のレスポンスを収集し、より効果の高い戦略を立案していきます。お客様の声に耳を傾ける検証プロセスは非常に重要です。顧客データを基に分析しても、企業の戦略と顧客の満足度には常にギャップが生じます。企業側にとって完成度が高いと自負するダイレクトメールも、顧客にとっては全く心に響かないただの紙切れだったという場合もあります。企業と顧客とのギャップを少しずつ埋めていくことが、多くの優良顧客を獲得するために必要不可欠のプロセスです。この検証作業を継続して行うことで、見込み顧客を既存顧客へ、既存顧客を優良顧客へと育成することに成功します。

 

CRMシステムと従来のPOSシステムは何が違うのか?



ここで、よくある質問として、「POSシステムによる情報管理とCRMの情報管理は何が違うのか?」という問いに関して説明します。
POSシステムとCRMシステムの異なる点は、顧客の個人データまでたどれるかそうでないかという点です。

POSシステムは、売上集計、売上分析、在庫管理が主な機能であり、店頭での誤入力の防止、店舗と本部の情報共有の迅速化など企業の作業効率や正確性を第一の目的としています。顧客管理機能も含まれてはいるのですが、レジ担当者が会計時に外見などから判断し、年齢・性別などの属性を登録するまでにとどまります。例えば、毎日コンビニに通い購入するA氏を同人物として登録し、継続して個人の購買記録を追うことはできません。またPOSシステムは既存顧客情報のみの収集が可能であり、購入に至っていない見込み顧客の情報収集はできないため、POSシステムに詳細な顧客情報を取り込むためには会員カードを読み込み、CRMとの連携が必要となります。

CRMシステムは、前章でご説明した通り、見込み顧客、既存顧客の属性データのみならず行動履歴に至るまで細かいデータを集積することが可能です。

CRMを導入するメリット・デメリット

 

では、CRMは経営課題、マーケティング課題を解決できる“特効薬”なのか?いえ、必ずしもそんなことはありません。他のマーケティング手法と同様にCRMにもメリット・デメリットが存在します。

 

■メリット 

 

顧客情報を分析・可視化し、効率的に利益をもたらす

今まで営業担当者や店舗がそれぞれエクセルなどで管理していた顧客情報を社内全体で一元化し、全社員で共有することができるようになります。情報を一元化することで生まれるメリットは大きく3つあります。

 

1.ただの“お客様リスト”が価値ある“顧客データ”に

1つ目は、有効活用されていなかった個人データが収益を生み出すデータベースに生まれ変わります。営業担当者がそれぞれ管理していたときには、フォローアップがおろそかになり手付かずであったデータが、優良顧客になる可能性を持った顧客リストになり得ます。また、これらはそれぞれのグループの仮想モデルを作り上げる元データにもなります。

 

2.顧客に煩わしさを感じさせないアプローチの実現

2つ目は、企業対顧客の接点の履歴が明確になる点です。顧客にとってみれば営業担当者、テレマーケティング部隊、マーケティング部隊、どの部署からアプローチがあっても、それはすべて同じ会社からのアプローチとして認識されます。企業が複数の部署から連携性のないアプローチをした場合、顧客は煩わしいというイメージを持ち、企業への不信感にもつながります。 
顧客との接点をタイムリーに社内で共有することでこういったトラブルを避けることができ、また、顧客が有益と感じる情報やアプローチを的確なタイミングで提供することが可能になります。

 

3.営業担当者の作業効率化による収益アップ

CRMシステムのデータベースには、過去のケーススタディ、バッドスタディも蓄積されます。担当者は、同じ顧客、もしくは似たモデルの顧客にアプローチをする際に、過去の実績やアプローチ履歴、失注履歴などから成功戦略を学ぶことが可能です。また、顧客データのセグメンテーションにより、どの顧客グループにどの程度のリソースを注ぐべきかを社内の共通基準で判断できるようになるため、効率的に営業コストを配分することが可能になります。

 

■デメリット

 

運用定着までに挫折してしまうことも...

CRMは、CRM概念の浸透、社内プロセスの見直し、CRMシステムの運用が定着することではじめて作業の効率化や企業への収益が目に見えてくるものです。成果が見えるまでには半年から数年かかる場合もあります。これらの情報を共有せずして運用を開始してしまった場合、営業担当者によってはただの面倒で無駄な作業が増えたという意識だけが鬱積し、運用に対して後ろ向きになっていくケースがあります。
「製品中心」から「顧客中心」のマネジメントに変革するためには、そもそもの考え方を180度転換する必要があります。担当者だけでなく、経営層やプロジェクトリーダーを含めその意識付けを継続して行うだけでも大変な労力です。しかし、このプロセスはCRM運用の定着と並行して継続して行う必要があります。顧客目線のマネジメントがいかに大きな収益を生み出すかを理解することで、顧客とのコミュニケーションに欠かせないレスポンスの計測や新たな戦略のアイデアを生み出す原動力となるからです。

 

CRMの導入にあたって大切なポイント

目的や指標を明確にしよう。CRM導入成功のための3つの教訓

CRMはすでにその概念が誕生してから35年が経ち、過去には数々の失敗事例もあります。その代表的な理由には、「IT技術(システム)に重きを置いたために人材やプロセスを軽視した」「従来の企業文化を継承した」「短期的な効果を期待した」などがあげられます。これらの失敗を踏まえ、現在のCRM導入成功のための教訓をいくつかご紹介します。

 

1.導入目的の明確化と社内プロセスの見直し

CRMを成功に導くためには、社内の部分的取り組みではなく、事業全体を念頭をおいた活動が不可欠です。そのためには、導入プロジェクトという単位だけでなく、経営理念や事業経営のレベルでCRM導入の目的である「顧客視点」のマーケティングへの取り組みを明確化し、社員全体に共通して理解、浸透させることです。顧客視点のマネジメントの導入には、企業カルチャーの変革さえも厭わない、会社全体のプロセスの見直しと取り組みが求められます。

 

2.戦略だけでは行き詰まる。施策実行のための体制づくり

従来のCRMでは、戦略の策定ばかりが重要視され、PDCAサイクルを実践するための人材とプロセスが軽視されていました。継続したPDCAサイクルを回すことが、CRM運用を成功に導くポイントです。途中で打つ手がなくなった、継続するためのマンパワーやナレッジがないということがないように、十分な人材、もしくは優秀なアウトソース先の確保が必要です。

 

3.共有指標(KGI・KPI)の設定

「CRMを導入して、1年後までに既存顧客の離反率を5%以下に抑える」「CRMを導入して、半年後に既存顧客の売上を10%アップする」といった大きな指標(KGI)はどの会社でも設定しやすいものです。しかし、この最終ゴールが見えてくるまでには半年から数年の期間を要します。それまでの期間に、それぞれの部署や担当者が導入フェーズごとにより細かい指標(KPI)を設定することが道標となり、モチベーションの維持にも効果的です。また、指標は設定するだけでなく、個人の評価やプロジェクトの進捗管理に活用するようマネジメント側がフォローアップしていくことも重要なプロセスです。

 

高額なシステム導入がゴールではない。身の丈にあったCRMを導入しよう

高額なCRMシステム導入や壮大なCRM導入プロジェクトは、導入後の効果が大きいと捉えがちですが「機能数が多い=効果に結びつく」わけではありません。機能の数よりも、「運用を定着させた機能数=効果に結びつく」という考え方が正しいでしょう。 
また、よほどの大企業でない限り、人件費を含むCRM導入のための運用予算には限りがあります。確実に運用の定着が見込める範囲で必要最低限の機能を選ぶことで、導入後のリスクを減少させることができます。 
何が必要な機能で何が不必要か、実は部署によってその機能は異なります。システム担当者にとっては絶対必要という機能も、実際に使用する営業担当者にとっては、さほど必要でない機能もあり、社内での温度差は大きくあります。顧客との接点が少ないシステム担当者と顧客と日々接する営業担当者の感覚が大きく異なることは明らかです。 
この感覚の違いが間違ったシステムやサービス導入の大きな原因となります。これを回避するためには、導入時の要件定義やデモに、関係部署すべてが参加することをお勧めします。実際にデモを開始してみると、必要な機能、さほど必要ではない機能が明確に見えてきます。はじめは最低限の機能から導入し、拡張性のあるシステムやサービスを選ぶことがリスクを最小限に抑えられる理想的な運用です。

 

導入=売上向上ではない

「導入=売上が上がる」と安易に考えすぎてしまうと好ましくない結果に陥ることがあります。正しくは、「導入=顧客育成のスタートラインにたった」という考え方です。CRMは、そもそも顧客視点にたった継続したコミュニケーションによって、顧客との関係性を育成することにあります。導入規模によりますが、顧客の育成にはある一定の期間が必要であり、目に見えた売上が出るまでには半年から数年は要するでしょう。

失敗しないCRMの運用方法

 

まずは既存顧客への適用から。効果を見ながら見込み顧客へ

まずはCRMの得意分野でもある既存顧客の育成から適用し、着実な運用の定着と効果をモニタリングしていくことが失敗しないCRM運用方法のポイントです。前の章でもご説明したように新規顧客への販売コストは既存顧客の5倍という調査データがあります。できる限り少ない労力で高い収益を生み出すために、既存顧客から適用し、その後見込み顧客へ適用していくことが望ましいでしょう。 
しかし、新規顧客獲得も企業の経営戦略にとって重要な課題です。もし、新規顧客の開拓に企業全体の8割の営業コストをかけるという経営方針なのであれば、見込み顧客への適用を同時並行で進める場合も出てくるでしょう。その場合は、既存顧客の育成より効果が見えるまでのコストと期間を多く見積もり、事前に経営層、実行部隊ともに理解を同じくする必要があります。

 

導入後の陥りやすい問題点TOP3

 

1.費用対効果が見えない。入力が面倒、導入しただけで放置

CRMの運用が定着し、効果が見えるまでにはある程度の期間を要します。導入前に入念に考えられた運用スケジュールも、予定通りにいかないケースが多々あります。実際に導入してみると陥りやすい問題点の1つに費用対効果が見えるまでの期間の長さにあります。 
営業担当者が個々のデータベースを通常業務の合間に1ヶ月で入力を完了させ、半年間で運用が定着しはじめたとします。その間にも、顧客との接点情報のアップデートや、戦略会議、フィードバック対応、情報共有など多くの業務が通常業務に追加されます。その成果が早くて半年後に数値に反映されはじめたとしても、その7ヶ月間は際立った効果も見えず、負担感ばかりが浮き立ってしまいます。費用対効果が見えない期間が長ければ長いほど、多くの担当者がCRMの導入について疑問を持ち、CRM導入に対して後ろ向きになり放置されてしまう場合があります。

 

2.運用ルールが決まっていない。社員が使いやすい共通のルールを決めよう

CRMシステムの運用ルールは、CRM継続運用と定着の肝ともなります。ルールを決める際のポイントをいくつかご紹介します。

 

ルールを細かく決めすぎない

細かすぎるルールブックは誰も読みたくありません。

 

ルールは定期的に見直す

実際に運用してみると、必要のないルール、運用の妨げになるルールなど改善していくべき点が見えてきます。導入直後は随時見直し、運用定着後は半年に1度程度の見直し・改定が使いやすいルールのポイントです。

 

各部関係者が意見を持ち合うこと

IT担当者と営業担当者、営業事務では、システムへの目線が異なります。1つの部署での決定は後々問題点を起こします。

 

ルールに縛られすぎて導入の目的を見失わない

導入の目的は、顧客との関係性構築、育成にあります。目の前のルールに縛られて、CRMシステムの運用が面倒になり、おろそかになるということがないよう関係者への意識付けを忘れずに。

 

3.社内全体で使わないと意味がない?

「営業部では運用が定着しつつあるけれども、マーケティング部ではまだまだ時間がかかりそう。」 
「カスタマーセンターでは、システム入力のレクチャーが遅れており、作業が進んでいない。」
こういった問題は、どの企業にもある実情です。しかし、これがCRM定着を遅らせ、効果を鈍化させる要因でもあります。CRMは、社内全体の顧客情報を共有することで、はじめてその効果を生み出せるものです。正確な分析なしには、顧客の正確なニーズが読めず、顧客とのギャップが広がるばかりです。その結果、的外れな戦略プランとなり効率的なアプローチを目的としているにもかかわらず無駄足を踏むこととなります。すべての部署の顧客接点をデータベースに集約し、足並みを揃えて取り組むことが、顧客が本当に求める次の一手の提案へつながります。

CRMを効果的に運用するためのツール

 


CRMツールとSFAの違いは?

CRMツールとは、CRM運用を実現するために顧客データベースの作成・管理・分析・施策実践・レスポンス計測を行うツールです。施策実行機能には、メール配信機能、セミナーの申し込み機能やリマインド機能、顧客へのアンケートや顧客満足度の調査機能などが含まれます。 
CRMツールは、顧客とのコミュニケーションを最終的な目的としているツールであることからデータベースの構造は一層が顧客情報、二層目が顧客との接点情報となっており顧客が中心です。企業の担当者情報などはその下層に位置します。 
SFAはSales Force Assistantという正式名の通り、営業担当者向けの支援ツールを意味します。機能面では、見積書作成機能、請求書発行機能、TO DOリストや日報、売上レポートの作成機能があり、営業担当者にとって便利な機能が盛り込まれたツールです。データの入力方法もCRMとは異なり、一層目に企業情報、二層目に担当者情報、三層目に企業との面談履歴などを入力していきます。

CRMツールとSFAツールの大きな違いは、それぞれの得意分野にあります。下記の図の通り、SFAは売り込み段階にあるターゲットに対して有効であり、CRMはそこからさらに顧客をリピーター、優良顧客に育成し獲得することを得意としています。

 

ツールやシステムを導入する際に気を付けること

現在のCRMシステムのトレンドはクラウド型です。クラウド型は、安価でインストールが手軽であり、保守管理も不要、PCへの負荷も少なく多くのメリットがあります。しかし、多くのツールが市場に溢れているため、何に気を付けて導入すべきか迷われている方のために、導入する際のチェックポイントをおまとめしました。導入ご検討の際のチェックリストとして参考にしてください。

 

1.自社のCRM導入への課題を解決してくれるシステムであるか?

自社の課題の洗い出しが必要となります。

 

2.自社の使用しているIT環境への適用が容易であるか?

大企業では、一部のPCで古いOSを使用している場合もあります。CRMシステムとレポートの拡張子が適合しない場合やCRMシステムのアップデートの際に自社のIT環境への大きな投資などが必要にならないかを事前に確認しましょう。

 

3.自社の平均的なITリテラシーで使いやすさを感じるか?

直感的に作業ができる使いやすさが理想的です。

 

4.リモートアクセスが可能であるか?

現在もしくは将来的にモバイル端末を使った営業プロセスの効率化を検討している場合は必須です。リアルタイムでの情報共有が実現します。

 

5.ツールやサービスの拡張性

CRMツールは小規模から導入し、必要に応じて拡張していくことが成功のポイントです。導入後に機能拡張が可能か、どういった機能があるかをチェックしましょう。

 

6.マーケティングオートメーションシステム(MA)やSFAとの統合ができるか?

顧客関心度を高めるためには、潜在顧客へのアプローチを得意としたMAや、効率的な営業活動の促進に有効なSFAの統合も検討されるかもしれません。そういったプランがある場合には、CRMとの統合が可能であるか事前のチェックが必要です。

 

7.デジタルマーケティングへの適応が可能であるか

ソーシャルメディアを使ったマーケティングを積極的に検討している、もしくは今後検討している場合にはチェックが必要です。

 

CRMの応用例

近年のCRMではさまざまな機能やツールと紐づけ、新たな可能性を生み出しています。その一部をご紹介します。

 

位置情報と紐づいたCRMシステム

位置情報(GPS)機能とCRMシステムを紐づけることで、営業担当者のフィールドワークの効率化が実現します。例えば、一日の営業スケジュールを考える際に、予定している訪問先から近い顧客情報がシステム上に表示され、同日の営業の候補先として検討することができます。外出先では、スマートフォンやタブレットが位置情報を発信し、もっとも効率的な移動ルートや近くの顧客情報を表示します。また、顧客に送付されるクーポン発行なども位置情報によって得たエリアを識別し送付することができます。

 

名刺管理ツールと紐づいたCRMシステム

名刺管理ツールでは、顧客情報の取り込みを短時間に正確に行うことが可能です。また、履歴機能により同一人物で会社が変わった場合などにも対応が可能です。名刺を一枚一枚確認して名寄せする手間を省き、顧客情報のアップデートの迅速性を高め、CRMシステム上でタイムリーに情報共有することができます。

 

マーケティングオートメーション(MA)と紐づいたCRMシステム

マーケティングオートメーションは、上記の図にもあるように潜在顧客を見込み顧客に引き上げることを得意としています。CRMと紐づくことで、潜在顧客からの流れを把握でき、より高い精度の分析データを導き出せます。新規顧客獲得に力を入れたい場合により効果の高いツールです。

 

人工知能(AI)と紐づいたCRMシステム

人工知能機能とCRMが紐づくことで、これまでのロジカルな分析データに加え、価値観やライフスタイルなどの感情的なデータの分析が可能になります。顧客の求めている企業側の「個」の存在を感じさせることが可能になっています。また、人でしかフォローアップできなかった問い合わせやチャットなどの「サービス価値」を、人工知能がフォローアップしてくれます。

まとめ

「顧客の視点」にたち、双方向の交流によりリレーションシップを深めることで、収益を高めるCRMは、現在のビジネス環境に適した経営戦略といえます。しかし、多くの企業がいまだCRM導入の本質を理解しないまま、IT主導のCRM導入による比較的短期的な効果を期待しており、本来の成果に至っていないケースがあります。
CRM導入の成功のためには、企業全体での「顧客中心」の経営への変化に対応する取り組みとCRM導入の正しい目的を経営層からマーケティング、営業、IT、コールセンターに至る実行部隊が共通に理解し、浸透させることが大前提です。また、企業にとって大きな収益源となるロイヤリティの高い顧客を多く獲得するためには、戦略の実践へのレスポンスを長期的にフォローアップするプロセスが欠かせません。IT技術のみに頼らず、適切な人材と労力、戦略の実践と検証(PDCA)が成功への鍵となります。